未知ける

リスクを恐れずに未開の地を探索する。この未知の世界に対する好奇心は、人類の科学技術と文明の発展をもたらしてきました。未知の世界を内包する新物質探索は、好奇心を存分に満たすことができる魅力的な研究テーマです。多くの失敗を乗り越えて新物質の合成に成功し、それが予想外の量子現象を示すことを世界で初めて目の当たりにしたときの興奮は、筆舌に尽くしがたいものがあります。

ただし、そのような興奮を味わえるチャンスは簡単には訪れません。新物質探索が難しい理由を一言で表すならば、それが逆問題の積み重ねであるから、ということになるでしょう。つまり、期待される機能を示す物質を設計し、それを合成できれば良いわけですが、実際は設計通りの(特にバルクの)物質を合成することは簡単ではなく、仮にそれが得られたとしても期待通りの機能を示す保証はありません。そのため、通常は経験と勘を駆使した帰納的な物質探索を行います。石渡研究室ではこの帰納的な物質・物性探索の可能性を高めるため、超高圧や超高真空といった様々な環境下での物質合成や、磁性・電気伝導性・熱輸送特性などの多岐に渡る物性測定を幅広く行っています。また、最近は第一原理計算やベイズ最適化を用いた構造探索など、我々の経験と勘を補強する情報計算ツールも積極的に活用しています。未知の量子現象が詰まった新物質を探す冒険を、我々と一緒に楽しみましょう。

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Visitor

北陸先端科学技術大学院大学の谷池研に所属するD2の中野渡淳氏が、当研究室に3ヶ月間滞在し、情報科学を活用した高圧合成に関する研究を行いました。